カッターナイフ / 一生涯抜くことの出来ないある男の話
 意外なことに少女は洋平を見て、少しはにかむ様な感じに少し微笑んでくれた。

「洋平君、やね。」

洋平は、はい、僕です。としか言えない。

「何か、こんな感じやったら緊張するねえ。

うちの方がお姉ちゃんやのに」

彼女は笑った。

洋平はそこで初めて彼女の笑顔を見た。

同時に彼女の広島弁がその容姿からくるイメージとは想像出来ないギャップを感じた。

が、それはいい意味に印象付けることが出来た。

「何でうちなんか、に会いたいと思たん。

でも、ちょっと恥ずかしいし、ちょっと嬉しいし」

彼女は笑顔のまま話をした。

洋平はかなりその言葉に自分も嬉しさを感じた。

でもとても一目ぼれ、なんてことは言えない。

「え。何かお祭りの時、睨まれてたみたいに思て。

ちょっと気になってたら、も一回会いたなってしもて。」

洋平の精一杯の告白であった。
< 16 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop