カッターナイフ / 一生涯抜くことの出来ないある男の話
 その後、しばらくお互いの学校のこととかクラブの話とか、思っていた以上に洋平は話が出来た。

彼女は合唱部で部活していることとか、普通レベルの高校に行けたら、くらいであまり勉強には熱心ではないみたいだった。

洋平は彼女に気持ちを伝えたかったために会いに来ていたが、違う方向で打ち解け始めていた。

嬉しかったが、何かちょっと、そのタイミングがわからなくなってきていた。

で、話は家族の話題になった。

先に洋平から話をした。

「うちはオトンとオカンと、妹居るんや。今、少6やねん。」

「あ、うちと一緒じゃ。

うちも親ふたり、と兄ちゃんと住んどるし。」

「ゆみこちゃんとこ、こっから、近いのん。」

「うん。歩いて10分くらいのとこ。」

洋平はちょっと焦り始めていた。

何か月も憧れていたその美少女が今、自分の目の前に居る。

打ち解けてきたのはかなり嬉しかったが。

でも、友達くらいの話しか出来ないことが悔しい。

洋平は思い切って言ってみよう、と覚悟した。

「いや。

ほんまはな。

ゆみこちゃん見て、初めはちょっと怖かったんやけど。

何か、どっか気になった、ちゅうんか。

可愛いかった、ちゅうんか。

それで、も一回会いたなってしもて。

僕、変なヤツやろ。」

洋平は照れ隠しで笑った。

「ゆみこちゃん、べっぴんやし彼氏とか居るやるな、て思てたけど。

夏休み終わってからも、めっちゃ会いたなってしもて。

ほんでこっち来てん。」
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