カッターナイフ / 一生涯抜くことの出来ないある男の話
 でも彼女は真顔だった。

「何か、そんなはっきり言われたん初めてやわ。

洋平君てもっと気弱い感じの子に見えたし。」

続けて彼女は言った。

「洋平君、何か真面目そうで、地元の子とちゃうし。

あの。

約束してくれへん?

誰にも言わへんて。

絶対に言わへん、て。

約束してくれへん?」

洋平は彼女にそう言われて必死で答えた。

「うん。絶対に誰にも言わへん。

死んでも言わへん。

約束するわ。」

彼女も洋平の必死さが伝わったのか、覚悟を決めたように話始めた。

「うちな。」

「今まで、男の子、好きになったことないねん。」

「女の子しか、好きになられへんねん。」

洋平は驚いた。

まったく自分で予想していなかったような答えが彼女から返ってきた。

「えー、そうなんや。」

これがとっさに反応出来たやっとの言葉であった。
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