カッターナイフ / 一生涯抜くことの出来ないある男の話
武庫之荘に帰る2日前の夜、盛大なお祭りがあった。
これにはかなり興味を惹かれていたし夜店で遊んでみたい、というのは普通の中学生の感情である。
だが今はいっしょに遊ぶ友人はここには居らず、孤独が楽しみを半減させていたが。
従兄と二人、バスに乗って祭りに出る。
どうやら従兄は友人らといっしょに回る様子で、かなり楽しそうである。
待ち合わせ場所に、4人ほど先に来ていて、着くなり同じクラスの女生徒をさっき、あそこで見かけた、とかの話題となっていた。
その話を聞いて、洋平も同じクラブで少し気になる子と、いっしょに来れたらなあ、という思いが生じた。
現実には洋平は内気な性格であったので、本当に誘うようなことは出来ないのであったが。
妄想の中では彼でもデートくらいは出来た。
でもまだ男女のデートとはおぼつかないくらいの幼い憧れ程度のものであるが。
従兄と、その友人たちといっしょに露天を見てまわる。
多少の小遣いを持っていたのでやりたかった射的とか、スマートボールを少し楽しんだ。
さすがに地元なので、従兄はいろいろと顔見知りと会っては嬉しそうに話したり手で挨拶したり。
夜は食事をしないできていたので、洋平は空腹を感じて、焼きそばを買って食べていた。