Pandora❄firstlove
ーーー俺が母親から性暴力を受けた傷を生徒に向けているーーー
言葉が詰まった。
それは紛れもない事実なのかもしれないと、直感的に感じてしまったから。
俺が、ひまわりのような愛に恋をしたのはーー母親から受けた傷を埋めるための道具としてしか、見ていなかったからかも……と。
「貴方は、教師失格だと思うわ。司先生」
貴方はーーーか。
「この秘密を知られたくなかったら、条件があるの」
「………どんなだ?」
「私と付き合って」
林檎先生は俺の頬を触れた。
それは愛しいものを支配する、どす黒い女の目。
それはかつて俺の目の前からいなくなった、母親から受け継いだ目のようだ。
「断る。誰が………誰がお前なんかと……!!」
「ならいいの?愛がどうなっても?」
薄暗いこのゲーム勝ったと言わんばかりに微笑んだ彼女。
クソ………何なんだよ!!!
「司先生……ごめん。俺、やっぱりどんな手を使っても、愛は渡せないって思ったから………」
保健室を走り去って出ていった和也。
「さぁ、私と契約して。さもないとーーー」
悪質な女を黙らせる方法を、俺は知ってるんだぞ?
何年、この手の女に騙されてきたのか………。
俺は息を吸って、目をつぶり林檎先生の唇に唇を重ね合わせた。
それは悪魔との契約を結ぶ合図。
悲劇が再開しそうな予感はしていたけれど。
神様はまだ味方していたようで。
*