Pandora❄firstlove

ずっと一緒だと約束したのに


「司っち!!久しぶり!!」



「いつも教室で、あってるだろ」



「携帯で写真とってあげるね」



「人の話をーーって、とるな!!」



「あれ……携帯がない!?」



またかと呆れた、カウンセリングを受けた3日後。



もう終業式が終わりーーー冬休みに入ったというのにコイツは職員室に入り込むという無茶を押し付けてきたものだから。




携帯を持ち出そうとしたのか、職員室全員に睨まれる。



何で俺がこんな目に。




「ちょっと、別の所で話そうか」




彼女を連れ出し中庭で。




その最中も、「ないよー、ないよー」と騒いでいたもので。




「何で携帯がないんだ?」




「和也くんと話してたら、いつの間にか取られてた」




「話していた場所を言わないと………分かんないぞ。探そうにも」





「え!?!私の為に親身を差し出してくれるの!?!?」




「何でそうなるんだよ………。とにかく何処なんだ?」




「保健室だよ」




保健室ーーー今日林檎先生がいたよなーーー?




嫌な予感が頭をかすめる。



「愛ちゃーん!!!」




聞き覚えのある愛らしい声に引かれて振り向くと、林檎先生が。




「スマホ落ちてたよ。保健室に」



「え!?林檎先生ありがとう!!」




笑顔で受け取る、愛に嫌われてるだなんて思ってたくせにだなんて考えたら、すべてが繋がった気がしてーーー。




いや、でも和也がそんな事をする感じじゃないとも、考えて。




そのまま早く去ったほうがいいと思い、愛の手を掴む。




すると、それを逃さぬかのように林檎先生は、俺のもう片方の手を掴む。




「司先生、私直接話があるんです。愛ちゃん、あっちいってて?」



「………え、どうして先約私なのーーー」



強い力で引かれたものだから、愛の手を掴んでいたのを離してしまった。



その瞬間、世界が灰色に染まって、外界の寒さが俺を包んだ。



連れられた先にいたのは、保健室。



何だか嫌な予感がしたけど、この林檎先生は離してくれない。







手を払った時には保健室の中で、目先にはベッドに静かに座り顔を俯かせている和也が。




「司先生、これはどうゆうことですか?私見ましたよ?」



愛らしいピンクのスマホをかざして見たら………そこには、愛と俺がメール話していたなんでもない会話。




「生徒と教師が、個人的にメールを送り合ったりーー電話をする関係はこの学校では禁止されているはずですが。私これは違反だと思うんですが」




「なんで………何でお前がそれを知ってる」




「お前だなんて……、やっと、やっと、私に対しての本性を見せてくれましたね。彼女隙が甘いんですよ。後ろのストーカーくんに教えてもらいました」



「司先生……俺は………俺は、ストーカーじゃない、違う……違うんだ………」




狼狽えている、彼の口から悲壮に満ちた声が出た。




「和也……お前、何でこんな事に加担したんだ?愛を愛してるんじゃなかったのか?」




「貴方に勝てないと、悟ったからよ。司先生」




「お前………生徒の失恋に漬け込んだのか?」




「何言ってるの?私は危険な恋を止めさせようとしている貴方の救世主なのに」




「どうしてそう思う?」




「よく話しているのが、彼女だもの。どんな女子生徒にも振り向かないし、同僚の女クソ教師にも振り向かない貴方が、恋してるのは一目瞭然だわ」




ケタケタと笑う、この魔女はやはり母に似ている気がする。




人を魔性の力で支配する、美しい危うい魔女。




「こんな事は犯罪だ。二人ともやってることわかってんのか?」




「貴方こそ、犯罪だわ。生徒にこんな思わせぶりなメールだとか、親しい人のお母様の名前や事情で同情を買おうなんて」




「お前………見たのか!!!知ったのか!!」




「知ったわ。ねぇ、和也くん?」




「先生、ごめん………関わったのは、アンタに勝ちたいと思ったからだよ。でもね俺、どうしてもあんたから愛をこの内容見た時、守りたいって思った」




和也は、林檎先生側に寄り添う。




「はぁ、お前人の携帯ハッキングしといて何いってるーーー常軌を逸してるぞ!?!?」




「司先生、アンタ混乱してるよ。母親から性暴力を受けた傷を生徒に向けて無くそうとするの、最低だな」

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