Pandora❄firstlove
絶望だ。
学校の事で聞きたいと思ったことがあったのだが。
会計を済ませて、病院を出た先。
溜息がこぼれて、歩みを止めた。
雪が解けていた。
ただそれだけなのだが、あんなに寒くて凍えそうな毎日だったはずなのにーーーまたあの季節がやってくるというのか………。
春先は前回も言った通り、あの忌々しい事件を思い出すが故に大嫌いな季節。
それと同時に、嫌な気分になる行事もあった。
それは入学式だ。
確かに俺は、トラウマの経験から現実とプライベートを分けるために、生徒達にしか関わらない教師を選んだ。
だけどもだ。
その考え自体が甘かったようで、一人の人間を一から育てるなどどれほど大変なのか、ここ最近やっと分かり始めた。
ルールも秩序も理解しているようで曖昧な、子供達を閉じ込めたこの檻に、法の概念は存在しない。
弱いものは破れ、強いものだけが権力を握り生き残る。
高校という場所は、改めてそうなのだと教師になって思い知らされた出来事がいくつもあって。
幾つも対処していくうちに、いつの間にか精力を奪われて、教師として働くことの意味なんて一つも見いだせなくなっていた。
希望の光が、闇に呑まれてしまった感じが否めない。
中高生徒の若気の至りだというのは重々承知はしているのだが、教師としてどうしても許せないことだってあるし、頭にくることだってある。
それなのに、教師という生き物はまるで生徒の為に頭に筋を通して喚き散らさない聖人のようでなければならないという圧力さえ感じてしまって。
「俺は………教師としてやっていけるのだろうか」
そう力なく、呟くことしかできなかった。
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