Pandora❄firstlove
第三章

君のいない日々

首がへし折れそうなほど項垂れて。


世界を歩いているのは、不倫された以降だった。



それなのに俺の上からバケツがひっくり返ったような雨が降り注ぐ。



愛が目を覚まさなくなってからいつからだろう。



ずっと看病していたはずなのに、もう時が長く感じられて。



気付けば長く迷路のような病院を抜けて、外道路を歩いていた。



傘を忘れてしまった罰なのか、土砂降りの雨が降ってきてーーーでも、どうでもよくなって。



びしょ濡れになった世界を一人歩いている。




そんな終焉みたいな世界は終わり、急に雨の感触がなくなる。



周りを見るが、外は雨。



足元に影ができてて振り向く。



するとそこにはーーー知的な雰囲気纏う愛の父親がいた。



藁もすがる思いの状態だったからだろう。



反射神経元より、そっと傘の柄に触れようとした。



パシンと右頬から鋭い痛みが走る。


もう一度向くと鋭い目付きで敵対する男の顔をした父親がいた。


「よく3日間、その面で来られたな」




彼の言っていることはなんとなくわかった。



だけどもーー。



「彼女に………目を覚ましてほしいから」




本心を語らずにはいられない状況下であったのには代わりはなかったから。



逆上させてしまったのだろう。



二度目の激烈なビンタを食らってしまい、ヒリヒリと痛む。



打たれる瞬間、曇り空を晴天に導くかのような釣り上がった眉毛が、印象に残っている。



傘の端から溢れ雨の染み。


灼熱の右頬を冷やしてくれないかと願っても遅い。



「これ以上、娘を振り回さないでくれ」



「アンタは、俺にどうしてほしいんだ?」


ゆっくりと傘を離し、また雨が頭を指すような感触が戻った後。



人外を見下すような目つきをした父親がゆっくりと振り返る。


それは神々しいオーラを纏うことを天から許されたみたいな雷鳴が、父親に降り注いで。



俺は天から罰を許さないというぐらいの雨を全身に振り被る。


「消えてほしい、お前もーー娘も何もかも」



白い高級車が父親を迎えに来たと言わんばかりに、ゆっくりとドアが空く。


その中の闇に吸い込まれるように、乗り込んだ父親。


こんなものは必要ないという顔をした父親は、俺へ向けて傘を投げ捨てた。



扉を閉じる瞬間、3度目にまた顔をはっきりこちらに向けて。



「二度目の手術をしようとできたのに」

一瞬、理解できなくて。


「………二度目……え、それってどうゆうーーー」



手を差し伸べた先には、強く扉を拒絶するように閉められ。


その反動なんだろうか、足元にあった石に躓いて全身が泥水を纏う。


うつ伏せに倒れるが………くたばるわけにはいかないって。

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