Pandora❄firstlove
全ては俺が招いた、罰でもあってーーーけじめでもあるんだから。
俺は雨で奪われた最後の力を振り絞って、顔をしっかり向けた。
嘲笑う父親の顔など、何のそのだ。
そんな俺を父親は、鼻で笑って。
「とにかく意識が戻らなければ、回復させる手術はできない」
それは体力が持たなければ、厳しい手術になることを意味しているんだろう。
「そんな……どうすれば」
制限時間を含んだ爆弾のように急かす、車のエンジン音。
爪とぎを取り出し丁寧に磨きだした父親のリズムに合わせて、二つの音は共鳴する。
「おそらく、お前と会う事でのストレスで愛は倒れたんだと思う」
爪とぎとエンジン音は制限時間を告げるように速くなる。
「俺が……愛をーー」
「お前が近づく限り、回復の見込みは無いかもな」
パチリと爪を研ぐ音が消え、エンジン音も瞬間に途切れた。
その瞬間を、世界を、眼で飲み込むぐらいに焼き付けたのはいつだったか。
「じゃあ………俺はーー」
最後の死刑囚の言葉。
力なく呟いた。
「アイツのために離れろ。父親としての命令だ」