Pandora❄firstlove


全ての役目を終えた乗り物はこの薄暗い空間から逃げ出すように、素早く走り去った。


教訓としてなのか、走り去った瞬間に泥水を被る。


衝撃的な事実というのは、いざ目の前に現れるとーーー呆然と立ち尽くすしかなくなるのかもしれない。



小さくなっていく、白い高級車を息を止めて眺めていた。



ポツリと。



頭に冷たい針が刺すような、雪が降ってきた。


雪が俺の全てを柔らかく崩したのか、はっと白いモヤが口からあふれ出す。



その心に染み込んだ雪の冷たさは、涙となって還元される。



いや、彼女はそれ以上の心の傷を受けていてーーー永遠の眠りについてしまった。



この心の中の雪を、俺は彼女に大量に注いでいた、数々の過去を思いだす。



ーーーこれはけじめだーーー。



ポケットから、ボロボロになった紙切れ。



それは愛に初めて貰った、連絡先の紙切れ。



それを細かく、雪の結晶のように切り裂いてーーー吹雪にそれを身に任せる。



粉々になったそれらは、雪と見間違えないぐらいに空高く舞った。



「ごめん………ごめん愛」


紙切れは、吹雪に消えて何処へやら。

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