Pandora❄firstlove


会計を済ませて、病院を出た先溜息がこぼれて歩みを止めた。



雪が解けていたのだが、ただそれだけ。




たが、またあの季節がやってくる合図。




大嫌いな季節で、嫌な気分になる行事。




それは入学式だ。



俺はトラウマの経験があって、普通の仕事は無理だ。


だから現実社会に関わらない仕事を選んだ。



生徒達にしか関わらない教師を選択したのは不幸中の幸い。


だけどもだその考え自体が、甘かった。


一人の人間を育てるというのが、どれほど大変な事なのか。


ここ最近やっと分かり始めた。



ルールも秩序も理解しているようで曖昧な子供達。



そんな存在を閉じ込めたこの檻に、法の概念は存在せず。




弱いものは破れ強いものだけが権力を握り、生き残る。



高校という場所は、改めてそうなのだと。




教師になって思い知らされた出来事がいくつもあって。



教師として働くことの意味なんて、一つもないと理解した。




だけども生徒をもちゃんとした目で心で向き合って、解決して。



ちゃんとした先生でありたいと思う。



だが、教師としてどうしても許せないことだってあるわけで。


頭にくることだってある。



だが教師は自分を守る為に、反撃すること、厳禁だ。


聖人でなければならないという、圧力を感じてしまって。


身動きが取れない、池の中の蛙。



この苦しみはどうしたらいいのか。



未だに分からない。




「俺は………教師としてやっていけるのだろうか



そして、教師としてやれるのだろうか?」



それを、聞きたかったのに。

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