この関係、治療につき~変人伯爵さまはメイドのわたしにご執心(ただし、研究材料として)~
 さぁ、なんと断ろうか――と考え込んでいると、頭が鈍く痛みだす。

 額を押さえると、彼は慌てた様子を見せた。

「こ、こういうときはどうしたら――」

 彼が困っている。見たところ若そうだし、トラブルに慣れていないのだろう。……本当に悪いことをしている。

「気にしないで。わたしのことは放っておいてくれたら」

 その選択が、正しい。お互い最善のはず。

 わたしが頭痛に耐えていると、だれかがこちらに近づいてくるのがわかった。

 やってきた人は、わたしの前で立ち止まる。

「あっ、伯爵さま」

 頭の上で声がする。あいにく、なにを言っているのかはぼんやりとしか聞き取れない。

(馬車に乗っていた人よね。……早く馬車を動かせって、怒ってるのかも)

 当然だ。こんなところでわたしに構っているなんて、時間の無駄だもの。

「……名乗れるか」

 わたしの目の前で、だれかが膝をついた。

 頭痛はどんどん激しくなり、めまいにまで襲われた。

「――か。一応運べ」

 その声を最後に、わたしは意識を失った。
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