捨てられ仮面令嬢の純真

 ――そして外に出たマティアスは、父公爵に向き直る。難しい顔だ。

「父上、私は即位を要請されると思いますか」
「マティアス――逆に問おう、今のままでよいと思うのか?」

 その言葉で父の覚悟がわかった。
 王家の血を引くとはいえ、臣下の身から成り上がる王位。不満も敵も多く出よう。それを支えるのは並大抵のことではないが、やるしかないのだ。
 マティアスはクシャ、と顔をゆがめて微笑んだ。だがすぐに――真顔になる。

「現状は打破せねばなりません。しかし――私は王位に就く気など、毛頭ありませんよ」

 その言葉に凍りついた公爵は、息子の真意をはかりかね険しい視線を送った。


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