捨てられ仮面令嬢の純真
「でもフェルナン団長と宰相補佐官殿がとめたんだってさ。レオのお兄さん、やるねえ」
「兄さんが……よかった」
「まあそんなわけだから、心がまえして王宮に行っておいでよ。国境での戦果はいちおう陛下に奏上するべきなんだろうけど……」
情勢が時々刻々と移り変わっているのでリュシアンはとても不機嫌かもしれない、とウスターシュに脅された。それでも行くしかないが。
「あ、それで奥方なんだけどさあ」
「セレスがどうかしたか!?」
レオからの手紙は出したが、逆はできなかったのだ。留守の間の消息は知りたくてたまらなかった。ウスターシュがタジタジとなる。
「めちゃくちゃ食いつくし。最近よく下町に出て、慈善事業をやってるよ。市中を巡回してると会うんだ」
「……そうなのか。しかし危なかろう」
「この数日は見ないな。町の雰囲気が悪くなったから館にこもってるんじゃない?」
「ならばいい」
セレスが暴徒に襲われていたらと不安だったが、レオは胸をなでおろした。
真っ直ぐな気性のセレスだが、ちゃんと危機管理ができるのか。信じ切れていなかったことをレオは内心で謝罪する。
するとウスターシュは照れくさそうに続けた。
「それでレオに訊きたくなったんだ。奥方の侍女のコラリーさんって面白い人だよね。彼女……結婚してる?」
「……あん?」
キナ臭い話から一転、浮かれたことを言われてレオはポカンとした。