捨てられ仮面令嬢の純真


 コラリーへのほんのりした恋を語るウスターシュに伴われ、レオは王宮へ向かった。早く館のセレスのところに帰りたいが仕事は完遂しなくてはならない。

 途中、街路の寒々しさに胸が苦しくなった。真冬のこととはいえ、こんなにひっそり――いや、ピリピリしているのを見たことがあるだろうか。人々が道端にうずくまったり、扉の隙間から様子をうかがったりしている。
 行きあった騎士団の仲間たちはレオに戦勝の祝福を伝えてくれた。こんな状況にあると、レオの帰還は心を軽くしてくれる報せなのだ。

「……こちらも大変だったんだな」
「だねー。まあ俺らは指示に従うだけだよ」

 指揮官として成果を出したレオをウスターシュは持ち上げてくれる。そしてマティアスのことも。

「補佐官殿、ずっと陛下をなだめすかして頑張ってるみたいだね。団長が同情してた」
「同情……はは……」

 その感想は喜んでいいのだろうか。
 今回の騒ぎでリュシアンへの評価が各所で決定的に悪化したのだと知れた。


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