捨てられ仮面令嬢の純真
「それ……それを言うのかっ!」
顔を真っ赤にされたが、セレスは落ち着いていた。
「ですから妃殿下には退席をと願いましたのに」
「セレスティーヌ、貴様……!」
「まあリュシアンさま、誕生日の祝賀会とはまさか私の……?」
怒鳴るリュシアンへ、妃のミレイユはキラキラした瞳を向けた。本人に秘密でパーティーを準備してくれるなんて私は最高に愛されている、と考えたのだ。ミレイユらしい。
「嬉しい……!」
「ああミレイユ。驚かそうと思っていたのに、こんなふうに知られてしまうなんて」
「いいえ、リュシアンさまのお気持ち、受け取りましたわ」
二人の世界に没頭する国王夫妻は幸せそうだ。だがそのパーティーへの反発が王都を混乱におとしいれた。そうセレスは諭しに来ているのだった。
「想い合うお気持ちは、こうしてお伝えするだけでもよろしいではありませんか」
「なんだと?」
セレスだって妹が幸せそうなことに文句はない。だが王妃としてのつとめをなげうっていると評判なのは悲しかった。ただただ放埒に贅沢へ溺れていくなど許されない立場なのだと気づいてほしい。
「陛下におかれましては国庫の状態を把握なさってますでしょうか。この一年で立て込んだ葬儀、即位式と婚礼、さらには出兵で民は疲弊しております。そのうえ妃殿下の祝賀会をと命じられ、市中には不満がうずまきました」
「そ……それはすべて必要なことだったろう!」
「誕生祝いもですか?」
「セレスティーヌ……! ハハンそうか、まだミレイユに嫉妬しているのだな、見苦しいぞ!」
見下すような視線を向けられ、セレスの記憶の片隅がうずいた。婚約者だった時もこうして馬鹿にされ続けていたのだ。
生真面目で面白みがない。
言われるまま仕事を肩代わりする間抜け。
下を向いて顔を隠す〈傷もの〉。
――でも、もうセレスはうつむかない。
レオに愛されているから。
レオを愛しているから。
レオの妻として、仮面の男爵夫人として堂々とここに立ちたいとセレスは願った。
顔を真っ赤にされたが、セレスは落ち着いていた。
「ですから妃殿下には退席をと願いましたのに」
「セレスティーヌ、貴様……!」
「まあリュシアンさま、誕生日の祝賀会とはまさか私の……?」
怒鳴るリュシアンへ、妃のミレイユはキラキラした瞳を向けた。本人に秘密でパーティーを準備してくれるなんて私は最高に愛されている、と考えたのだ。ミレイユらしい。
「嬉しい……!」
「ああミレイユ。驚かそうと思っていたのに、こんなふうに知られてしまうなんて」
「いいえ、リュシアンさまのお気持ち、受け取りましたわ」
二人の世界に没頭する国王夫妻は幸せそうだ。だがそのパーティーへの反発が王都を混乱におとしいれた。そうセレスは諭しに来ているのだった。
「想い合うお気持ちは、こうしてお伝えするだけでもよろしいではありませんか」
「なんだと?」
セレスだって妹が幸せそうなことに文句はない。だが王妃としてのつとめをなげうっていると評判なのは悲しかった。ただただ放埒に贅沢へ溺れていくなど許されない立場なのだと気づいてほしい。
「陛下におかれましては国庫の状態を把握なさってますでしょうか。この一年で立て込んだ葬儀、即位式と婚礼、さらには出兵で民は疲弊しております。そのうえ妃殿下の祝賀会をと命じられ、市中には不満がうずまきました」
「そ……それはすべて必要なことだったろう!」
「誕生祝いもですか?」
「セレスティーヌ……! ハハンそうか、まだミレイユに嫉妬しているのだな、見苦しいぞ!」
見下すような視線を向けられ、セレスの記憶の片隅がうずいた。婚約者だった時もこうして馬鹿にされ続けていたのだ。
生真面目で面白みがない。
言われるまま仕事を肩代わりする間抜け。
下を向いて顔を隠す〈傷もの〉。
――でも、もうセレスはうつむかない。
レオに愛されているから。
レオを愛しているから。
レオの妻として、仮面の男爵夫人として堂々とここに立ちたいとセレスは願った。