捨てられ仮面令嬢の純真
「で、騎士団の対応は」
「俺らは道路の封鎖と巡回。警ら隊が現場の取り締まりと捕縛をやってる」
「……その程度で済んでるんだな」
レオが安堵したのは、王国軍が出て苛烈な弾圧を、という局面にはなっていないことだ。共に早馬で戻ったのは少数の従者たちだが、彼らはこれから軍に戻るのだから。
だがウスターシュは声をひそめた。
「陛下は不逞の輩など圧し潰せ、って言ったらしいけど」
「……そうか」
言いそうだと納得してしまい、レオの心はグラリとよろめいた。
「でもフェルナン団長と宰相補佐官殿がとめたんだってさ。レオのお兄さん、やるねえ」
「兄さんが……よかった」
「まあそんなわけだから、心がまえして王宮に行っておいでよ。国境での戦果はいちおう陛下に奏上するべきなんだろうけど……」
情勢が時々刻々と移り変わっているのでリュシアンはとても不機嫌かもしれない、とウスターシュに脅された。それでも行くしかないが。
「あ、それで奥方なんだけどさあ」
「セレスがどうかしたか!?」
レオからの手紙は出したが、逆はできなかったのだ。留守の間の消息は知りたくてたまらなかった。食いつかれてウスターシュがタジタジとなる。
「げ、元気だと思うよ。最近よく下町に出て、慈善事業をやってる。市中を巡回してると会うんだ」
「……そうなのか。しかし危なかろう」
「この数日は見ないな。町の雰囲気が悪くなったから館にこもってるんじゃない?」
「ならばいい」
セレスが暴徒に襲われていたらと不安だったが、レオは胸をなでおろした。するとウスターシュが照れくさそうに続ける。
「奥方の侍女のコラリーさんって面白い人だよね。彼女……結婚してる?」
「……あん?」
キナ臭い話から一転、浮かれたことを言われてレオはポカンとした。なんとか頭を切り替える。
「コラリー? いや、独り身だが……」
「本当? すっごく話が合うんどけど、脈アリかなあ」
「……さあな」
そんなこと知らない。男女のことには不器用なレオに訊かれても、どうとも答えられなかった。
「俺らは道路の封鎖と巡回。警ら隊が現場の取り締まりと捕縛をやってる」
「……その程度で済んでるんだな」
レオが安堵したのは、王国軍が出て苛烈な弾圧を、という局面にはなっていないことだ。共に早馬で戻ったのは少数の従者たちだが、彼らはこれから軍に戻るのだから。
だがウスターシュは声をひそめた。
「陛下は不逞の輩など圧し潰せ、って言ったらしいけど」
「……そうか」
言いそうだと納得してしまい、レオの心はグラリとよろめいた。
「でもフェルナン団長と宰相補佐官殿がとめたんだってさ。レオのお兄さん、やるねえ」
「兄さんが……よかった」
「まあそんなわけだから、心がまえして王宮に行っておいでよ。国境での戦果はいちおう陛下に奏上するべきなんだろうけど……」
情勢が時々刻々と移り変わっているのでリュシアンはとても不機嫌かもしれない、とウスターシュに脅された。それでも行くしかないが。
「あ、それで奥方なんだけどさあ」
「セレスがどうかしたか!?」
レオからの手紙は出したが、逆はできなかったのだ。留守の間の消息は知りたくてたまらなかった。食いつかれてウスターシュがタジタジとなる。
「げ、元気だと思うよ。最近よく下町に出て、慈善事業をやってる。市中を巡回してると会うんだ」
「……そうなのか。しかし危なかろう」
「この数日は見ないな。町の雰囲気が悪くなったから館にこもってるんじゃない?」
「ならばいい」
セレスが暴徒に襲われていたらと不安だったが、レオは胸をなでおろした。するとウスターシュが照れくさそうに続ける。
「奥方の侍女のコラリーさんって面白い人だよね。彼女……結婚してる?」
「……あん?」
キナ臭い話から一転、浮かれたことを言われてレオはポカンとした。なんとか頭を切り替える。
「コラリー? いや、独り身だが……」
「本当? すっごく話が合うんどけど、脈アリかなあ」
「……さあな」
そんなこと知らない。男女のことには不器用なレオに訊かれても、どうとも答えられなかった。