捨てられ仮面令嬢の純真
そういうものかと思いつつ、コラリーは少し踏み込んだ。
「奥さまのその仮面、レースがすごく綺麗です」
「ありがとう……でも皆、驚いたでしょう?」
そっと髪を梳かすコラリーは、エヘヘと笑ってうなずく。
「それはまあ最初は。右のお顔は隠していると事前に訊いておりましたけど。お会いして、そういうオシャレな隠し方なの、て目が丸くなりましたよ」
「おしゃれ?」
「ええとほら、黒い眼帯とかだと、ちょっと悪人ぽく見えますでしょ? そうじゃなくて安心したんです」
「悪人なんて! それではレオさまに捕まってしまうわね、騎士団員ですもの」
セレスが軽口を言い、コラリーはホッとした。朝からふさぎ込んでいる女主人のことが心配だったのだ。それほどセレスは悲しげだった。
もちろんコラリーも、セレスが王妃になりそこねたいきさつはサラッと聞いている。不幸な成り行きの末にレオと結婚させられたのだから、悲しいのも仕方ないのだろうか。
「奥さまは華やかなのとしっとり落ち着いたのと、どちらが好きですか」
できれば心地よく過ごしてもらいたい。コラリーはセレスに寄りそう方向性を探った。
「派手なのは好きではないわ……でもレオさまはどうかしら」
「旦那さまの好み、ですか」
「せっかくならお気に召す妻でいたいと思うのは――難しいかしらね」
「とんでもないですよ! 私も旦那さまのことはまだよくわからないてすけど、アネットさんにも訊いてみます!」
セレスが気づかいにあふれた女性なのはコラリーに伝わった。できればセレスが笑っていられるように協力したいとコラリーは考える。
だってできれば、職場環境は良好にしておきたい。セレスが幸せに過ごせるに越したことはないのだった