捨てられ仮面令嬢の純真
  ✻ ✻ ✻

 やや距離を詰め、お互いを意識するセレスとレオ。だがそこから怒涛の日々が始まり、どうにも進展しなくなった。忙しいのはレオだ。

「――本日もお戻りは遅くなりますか」
「そう言うなダニエル。俺だってなあ……」

 やんわりと嫌みを言う執事に、レオは顔をしかめた。ダニエルは放ったらかしのセレスを心配しているのだが、これは仕事のせいだ。

「今は大変ですものね。でもお体には気をつけてくださいませ」
「セレスティーヌ……ありがとう」

 それは、国家行事の警備計画策定と各国要人警護プランのすり合わせのせいだった。
 同時に王都の治安管理も厳重にしなくてはならない。多数の国賓を迎える準備がすでに始まっているのだ。



 リュシアンの即位と結婚式は二ヶ月後と決定した。急すぎるその日程は、新王本人がゴリ押したことによる。ミレイユのためだとか。

 悪阻に倒れていたミレイユは、吐き気がおさまったら今度は情緒不安定になったらしい。
 お腹が大きくなってしまったらウエストを絞ったウェディングドレスが着られないとか、祝賀舞踏会でリュシアンと踊れないとかそんなことばかりを嘆く。さめざめと泣く。
 見栄っぱりな意見を悲しげに吹き込まれたリュシアンは、「可及的すみやかな日程にせよ」と命じたのだった。


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