捨てられ仮面令嬢の純真
  ✻ ✻ ✻

 レオの元に国境から報せが届いたのは、寒さも厳しくなった頃だった。

「ビルウェン側に――関所だと」

 それはレオの領地の中心をなす町、オスーフからの困惑しきった手紙だった。
 町と砦を抜けビルウェン王国まで続く街道は、マルロワ北東部の重要な道。その国境を抜けたところに両国の協約にない関所が設置され、通行税が課されたというのだった。往来する商人たちは不測の出費に悲鳴をあげたり情勢を確かめるためオスーフに留まったり、どちらにしても大変なことになっているらしい。

「領主の独断か……?」

 国境の向こうはビルウェンの貴族、ベーレンツ伯の領地のはず。以前にもマルロワ側へちょっかいをかけ、警備を強化させられている相手だ。
 とにかくこれは正式にビルウェン王国へ抗議するべき案件。レオは宰相補佐官である兄・マティアスへ報告に向かった。


< 95 / 144 >

この作品をシェア

pagetop