スノードロップ
隣に来た悪魔
夜になり私はそっと家を抜け出し待ち合わせ場所へ向かう。薄暗い街灯の下_カウルは居た。
「待たせてすみません…」
「 全然大丈夫だよ。僕も今来たとこだから…さあ行こうか」
カウルは手を差し伸べ私はソレに応えた。少し冷たかったカウルの手_強く握られ少し痛かった。
ーー数十分後
あれ、ここカウルの家じゃない…?
「あ、の、えっと…」
「最近引っ越したんだ」
それはすぐ嘘だと解った。引っ越すにしてもあまりにも早すぎる。昨日カウルの家から追い出されたばっかりなのに…。
ーガチャ
外から玄関へ…玄関に入っただけなのにひんやりと寒かった。奥にベッドらしき物が見え案内される。
ーードンッ
私は押し倒され紐で手首を縛られる。次の瞬間視界が真っ暗になり色々音が聞こえる。なにかにライターの火をつける音、料理をする音、外から出ていく音、何かを開ける音…
ーーーそれからどれくらい時間が経ったのだろう。目を開けているはずなのに視界は暗い。目にあるモノを取ろうとするにも…
_ジャラ
手錠がついており動けない。足音がする、カウルかな?
「とても似合っているよ。ステラ、」
カウルは慣れたような手つきで私の顔を触りゆっくりと、目隠しを外す。 不気味な笑顔で私を真っ直ぐ見つめ可愛いねと声を漏らした。
「…っんなの、カウルじゃな、い」
「僕は僕だよ。」
ツー…っと優しく私の輪郭をなぞる
「…っう」
「ステラ、そんな声も出せるんだね、とても愛おしくて可愛いよ」
慣れない感覚のせいで勝手に声が出る…怖い、不安、嫌だ…
怖いって思っててもカウルは勝手に私の身体をあちこち触る
逃げ出したくても手にも足にも監禁用具がついており逃げ出せなかった。…最近引っ越したという家には飲みかけのビール瓶、吸い殻…カーテンは閉め、まるで私を見られたくないかのように_ひんやりとさっきより寒い気がした。
今日も相変わらず監禁用具がついてて私は閉じ込められてる。
暗くて、寒くて、冷たくて、そんな部屋に独りぼっちだった。カウルは今出かけている。私は考え事をしている時にふとテーブルに目をやると鍵らしきものがあった。頑張れば届く距離。手を伸ばしてる途中でカウルが帰ってきたら私はどうなるのだろうこの部屋にカウルは居ないのにまるで、居るように考えてしま う。
「 どうなってもいいや 」 私は頑張って手を伸ばす…
_チャリン
「 …!! 」
落ちた…!あとは取るだけ…取れた!!あとは外すだけ、お願い、バレてませんように。
_ジャラ 取れた…逃げよう。
足の裏が冷たく、ジンジンする。裸足のせいなのだろう、そこら辺に落ちていたゴミやガラスが私の足に刺さり血だらけ。そんな私を周りの人は冷ややかな目で見る。
はぁ…はぁ..っ
家につい、た…
私は家にいたくない、前までそう思っていたのに今は家に着いた安心が強かった。やっと、逃げれた。あの地獄から。
「…っ ステラ!!!」
_パシっ
「 どこにいたの!!!心配したじゃないっ!!」
「え…?」
私は耳を疑った。私を出来損ないと貶し私の身体に痣を作っていたお母さんが心配の言葉をかけるなんて…普通は嘘だと思うのだろう、だが私は安堵した。やっと普通の母親になったのかな?
「お母さん…心配してくれてありがとう。」
「明日から覚えておきなさいよ。明日から…ね」
お母さんの言葉は聞こえなかった。けどカウルは私の家を知らないしここまでは来れないだろう…もう終わりなんだね。私は安心し床で寝る。カウルの家ではずっとベッドに居たから
床が痛く感じる。
ちゅんちゅん_
鳥の鳴き声で私は目を覚ました。理解するのに時間が少しかかった。そっか、私カウルから逃げたんだ。今でもあのカウルの優しくて全てを包み込んでくれるような安心感のある笑みを私は忘れない。けれど、あの笑みの裏に私は気づくのが遅すぎた…。あのカウルは私を閉じ込めて何がしたかったのだろう。あれこれ考えていると何処かに出かけてたであろうお母さんが帰ってきた。
ーーー数ヶ月後
私は服の下に沢山の痣がある。母親からもカウルからも_
重い足をずるずると引き学校へ向かう。家にも学校にも居場所が無く『 やっと見つけた安心出来る居場所 』は無くなってしまった。
「 … 」 _ガラガラ
挨拶もせずに自分の席へと向かうと机には暴言の落書き、机の中にはゴミなど_
「 家でも辛いのに学校でもこんななんだ… 」 ふっと本音が漏れた。私の本音が漏れても誰も聞きやしない。私のこの漏れた本音はどこへ行くのだろう…遠い、遠い闇の中__
「何あれ笑私は可哀想な子アピール?」
グサッと胸に刺さる。聞きたくなくて耳を塞いだ_
「おい」
「 … 」
「は?無視?」
耳を塞いでるから聴こえない。
その瞬間机に思い切り蹴られ私は転ぶ。
「いた…っ」
「ステラのくせにシカトこいてんじゃねぇよ」
「お前らやれ、」
カレンの後ろに立っている男子3人がカレンの合図で私の前に来る。
「動画撮っちゃおうかな〜笑笑」
私は理解ができなくそのまま座っていた。すると突然男子2人が私の両手を掴む。抵抗しようにも強く握られていてビクともしなかった。
「だせーな笑もうちょっと頑張れよ。」
「これからが本番なんだからよ、頑張って俺らを楽しませろよ」
ニヤニヤと笑いながらまた強く握られる。
「お前もやれ」
「おう」
もう1人の男子が私の服を脱がそうとする。
「…!や…っ、やめて…っ」
男の力に勝てる訳もなくされるがままにされる。あっという間に下着1枚になり先生も見て見ぬふりをしていた。私は涙でボロボロになりもうどうでも良くなっていた。
「いい身体してんじゃねーかよ」
「次はこの下着も脱がそうかなー笑
いいよなカレン。」
「ええ。好きにさせなさい。私は動画撮っとくから。」
「 りょーかい 」
なんで私はいつもこうなのだろう。助けを求めれなくてあの人たちのされるがままで、言い返すことも出来ない…この先好きにされるんだったら一言ぐらい勇気出して言い返してもいいよね…?私は成長した。あの頃よりぐんと成長した。言い返すことも思うことも無理だったあの頃の私と比べ今の私は言い返したいそう思っていた_
「も、う、やめてよ…」
言葉は詰まったものの言い返す言葉が言えた…。
「は?何?聞こえないんだけどー笑」
「 … 」
「もうやめてって言ったの!!!」
私はびっくりした。自分はこんな大きな声が出せるとは思いもしなかった。この声を言葉にしたら『 怒鳴り声 』
カレン達は私が怒鳴るとは思いもしなかったのか
「ステラのくせに何よっ!!」と言い放ち男たちと一緒にどこかへ行った。
…ブルブル
怖くて、不安で、辛くて、苦しくて、そんな思いがぎゅっと1つにまとまった時勇気が出てやっとあの人たちに言い返せた。
やはりと言っていいのだろうか。私が言い返すとは思いもしなかったクラスメイト達が私の方を見て驚いたりヒソヒソ話を立てている。
私の名前はステラ。何処にも居場所がなく生きてる意味も見つからずただ独りで生きていた。私は何も成長しない、そう思っていたけど私は今日やっとあの人たちに言い返せて少し心がスッキリしたような…そんな気分
心は軽くなったものの家に近づくにつれ頭や足が重くなる。
私の服の下には痣だらけ…心も傷だらけ。表したら
『 出口も窓もない部屋に独りでいる 』そんな感覚…そんな所から一体どうやって抜け出せと言うのか。何個も痣も傷も作って、消えて、作って…私は可哀想な子、なんて言葉に括られたくない。
素直じゃない子?…ううん。今が辛いだけの悲劇のヒロイン気取りーー。私はまだ家に帰りたくなかったため家に向かう足を止めて映画館への道へと行く。
どうせ家に帰っても重苦しいから映画でも見に行こうかな。
映画って言っても何見たらいいのかな…平日なのか、街には人が少なかった。やっと高校生らしいことやっとできたな…友達は居ないけどこうやって映画来るのちょっと憧れてたから嬉しいな…そう思いながら映画を適当に選ぶ私。ーー結局決まったのは「心臓に囚われた、私の心」という映画でこれは主人公が重い心臓病を患っていて彼氏と協力していく、という物語。これ予告編面白そうだったから気になってたんだよね
チャリン_今学割でやすくなってるから900円を入れる。
数時間後
やっぱりあの映画を見て正解だったと思う。まさか最後はあんな展開になるなんて…主人公は結局死んでしまって主人公の彼氏も後を追うという悲しい最後だったのだ。
私は途中から涙が止まらなくなったせいで皆から見られ恥ずかしい思いをしてしまったのだ。でも少し泣いたお陰で暗い気持ちはどこかへ飛んでいってしまった。映画観るだけでもこんなに変わるんだな、そう考えながら時計を見ると良い時間帯だったので帰ることに。遅くなったらまた痣が増えちゃう、
そう思い帰路へと着く
「た、だいま…」
シーン_
まだ誰も帰ってきてないみたいで家は私1人…
どこに行ったんだろ…。早く片付けないとまた暴力振るわれちゃう、あんなのはもうやだ、色々考えながら掃除していると
お母さん、カウル、が帰ってきた。
「あら、早かったわね」
「う、うん…」
「新しいモノ買ってきたぞ」
そうやって怯える私の目を真っ直ぐと見ながらカウルは私の服の所にナニカをつけた。__ 出会った時のカウルはとても優しくて、私に居場所を作ってくれたそんな優しい人だと思ってたのにカウルはこんなにもなってしまった…。『 私の居場所なんか存在しない 』と嫌というほど突きつけられる。窓も出口もない部屋に私だけがその部屋の中で泣いていて、苦しんで、辛くなって、バカみたい_
「もうやめて」
驚くほど冷たく低い声が出た。お母さんもカウルもそんな私の声に驚いている。
「なんだと?また振るわれたいのか」
違う_そうじゃない。分かってよ…
「ステラ。あなたに生きろなんて言ってない、死にたいなら死になさい、そして地獄に堕ちなさい。誰もあんたなんか必要としてないわ。」
お母さん…なんで、私をちゃんと愛して、嫌、嫌だ…そんなの
吐かないで_私はお母さんがスキ。だから何でも言う事を聞いてきた、そんなお母さんから汚い言葉を吐かれ私は深く絶望した。気がつくと私は家の外にいた。どうやって家を出たのかすら覚えていない。ただただお母さんから言われた汚い言葉を洗おうと私は身を投げた__
「こんな事になるくらいなら私は生まれて来なければ良かった」
身を投げる直前に出た私の弱い本音は誰にも届かず息となって
消えてしまった。誰か、こんな環境から抜け出させて。頭が割れるような痛みが走る。痛い、けどこれが私の未来。
「待たせてすみません…」
「 全然大丈夫だよ。僕も今来たとこだから…さあ行こうか」
カウルは手を差し伸べ私はソレに応えた。少し冷たかったカウルの手_強く握られ少し痛かった。
ーー数十分後
あれ、ここカウルの家じゃない…?
「あ、の、えっと…」
「最近引っ越したんだ」
それはすぐ嘘だと解った。引っ越すにしてもあまりにも早すぎる。昨日カウルの家から追い出されたばっかりなのに…。
ーガチャ
外から玄関へ…玄関に入っただけなのにひんやりと寒かった。奥にベッドらしき物が見え案内される。
ーードンッ
私は押し倒され紐で手首を縛られる。次の瞬間視界が真っ暗になり色々音が聞こえる。なにかにライターの火をつける音、料理をする音、外から出ていく音、何かを開ける音…
ーーーそれからどれくらい時間が経ったのだろう。目を開けているはずなのに視界は暗い。目にあるモノを取ろうとするにも…
_ジャラ
手錠がついており動けない。足音がする、カウルかな?
「とても似合っているよ。ステラ、」
カウルは慣れたような手つきで私の顔を触りゆっくりと、目隠しを外す。 不気味な笑顔で私を真っ直ぐ見つめ可愛いねと声を漏らした。
「…っんなの、カウルじゃな、い」
「僕は僕だよ。」
ツー…っと優しく私の輪郭をなぞる
「…っう」
「ステラ、そんな声も出せるんだね、とても愛おしくて可愛いよ」
慣れない感覚のせいで勝手に声が出る…怖い、不安、嫌だ…
怖いって思っててもカウルは勝手に私の身体をあちこち触る
逃げ出したくても手にも足にも監禁用具がついており逃げ出せなかった。…最近引っ越したという家には飲みかけのビール瓶、吸い殻…カーテンは閉め、まるで私を見られたくないかのように_ひんやりとさっきより寒い気がした。
今日も相変わらず監禁用具がついてて私は閉じ込められてる。
暗くて、寒くて、冷たくて、そんな部屋に独りぼっちだった。カウルは今出かけている。私は考え事をしている時にふとテーブルに目をやると鍵らしきものがあった。頑張れば届く距離。手を伸ばしてる途中でカウルが帰ってきたら私はどうなるのだろうこの部屋にカウルは居ないのにまるで、居るように考えてしま う。
「 どうなってもいいや 」 私は頑張って手を伸ばす…
_チャリン
「 …!! 」
落ちた…!あとは取るだけ…取れた!!あとは外すだけ、お願い、バレてませんように。
_ジャラ 取れた…逃げよう。
足の裏が冷たく、ジンジンする。裸足のせいなのだろう、そこら辺に落ちていたゴミやガラスが私の足に刺さり血だらけ。そんな私を周りの人は冷ややかな目で見る。
はぁ…はぁ..っ
家につい、た…
私は家にいたくない、前までそう思っていたのに今は家に着いた安心が強かった。やっと、逃げれた。あの地獄から。
「…っ ステラ!!!」
_パシっ
「 どこにいたの!!!心配したじゃないっ!!」
「え…?」
私は耳を疑った。私を出来損ないと貶し私の身体に痣を作っていたお母さんが心配の言葉をかけるなんて…普通は嘘だと思うのだろう、だが私は安堵した。やっと普通の母親になったのかな?
「お母さん…心配してくれてありがとう。」
「明日から覚えておきなさいよ。明日から…ね」
お母さんの言葉は聞こえなかった。けどカウルは私の家を知らないしここまでは来れないだろう…もう終わりなんだね。私は安心し床で寝る。カウルの家ではずっとベッドに居たから
床が痛く感じる。
ちゅんちゅん_
鳥の鳴き声で私は目を覚ました。理解するのに時間が少しかかった。そっか、私カウルから逃げたんだ。今でもあのカウルの優しくて全てを包み込んでくれるような安心感のある笑みを私は忘れない。けれど、あの笑みの裏に私は気づくのが遅すぎた…。あのカウルは私を閉じ込めて何がしたかったのだろう。あれこれ考えていると何処かに出かけてたであろうお母さんが帰ってきた。
ーーー数ヶ月後
私は服の下に沢山の痣がある。母親からもカウルからも_
重い足をずるずると引き学校へ向かう。家にも学校にも居場所が無く『 やっと見つけた安心出来る居場所 』は無くなってしまった。
「 … 」 _ガラガラ
挨拶もせずに自分の席へと向かうと机には暴言の落書き、机の中にはゴミなど_
「 家でも辛いのに学校でもこんななんだ… 」 ふっと本音が漏れた。私の本音が漏れても誰も聞きやしない。私のこの漏れた本音はどこへ行くのだろう…遠い、遠い闇の中__
「何あれ笑私は可哀想な子アピール?」
グサッと胸に刺さる。聞きたくなくて耳を塞いだ_
「おい」
「 … 」
「は?無視?」
耳を塞いでるから聴こえない。
その瞬間机に思い切り蹴られ私は転ぶ。
「いた…っ」
「ステラのくせにシカトこいてんじゃねぇよ」
「お前らやれ、」
カレンの後ろに立っている男子3人がカレンの合図で私の前に来る。
「動画撮っちゃおうかな〜笑笑」
私は理解ができなくそのまま座っていた。すると突然男子2人が私の両手を掴む。抵抗しようにも強く握られていてビクともしなかった。
「だせーな笑もうちょっと頑張れよ。」
「これからが本番なんだからよ、頑張って俺らを楽しませろよ」
ニヤニヤと笑いながらまた強く握られる。
「お前もやれ」
「おう」
もう1人の男子が私の服を脱がそうとする。
「…!や…っ、やめて…っ」
男の力に勝てる訳もなくされるがままにされる。あっという間に下着1枚になり先生も見て見ぬふりをしていた。私は涙でボロボロになりもうどうでも良くなっていた。
「いい身体してんじゃねーかよ」
「次はこの下着も脱がそうかなー笑
いいよなカレン。」
「ええ。好きにさせなさい。私は動画撮っとくから。」
「 りょーかい 」
なんで私はいつもこうなのだろう。助けを求めれなくてあの人たちのされるがままで、言い返すことも出来ない…この先好きにされるんだったら一言ぐらい勇気出して言い返してもいいよね…?私は成長した。あの頃よりぐんと成長した。言い返すことも思うことも無理だったあの頃の私と比べ今の私は言い返したいそう思っていた_
「も、う、やめてよ…」
言葉は詰まったものの言い返す言葉が言えた…。
「は?何?聞こえないんだけどー笑」
「 … 」
「もうやめてって言ったの!!!」
私はびっくりした。自分はこんな大きな声が出せるとは思いもしなかった。この声を言葉にしたら『 怒鳴り声 』
カレン達は私が怒鳴るとは思いもしなかったのか
「ステラのくせに何よっ!!」と言い放ち男たちと一緒にどこかへ行った。
…ブルブル
怖くて、不安で、辛くて、苦しくて、そんな思いがぎゅっと1つにまとまった時勇気が出てやっとあの人たちに言い返せた。
やはりと言っていいのだろうか。私が言い返すとは思いもしなかったクラスメイト達が私の方を見て驚いたりヒソヒソ話を立てている。
私の名前はステラ。何処にも居場所がなく生きてる意味も見つからずただ独りで生きていた。私は何も成長しない、そう思っていたけど私は今日やっとあの人たちに言い返せて少し心がスッキリしたような…そんな気分
心は軽くなったものの家に近づくにつれ頭や足が重くなる。
私の服の下には痣だらけ…心も傷だらけ。表したら
『 出口も窓もない部屋に独りでいる 』そんな感覚…そんな所から一体どうやって抜け出せと言うのか。何個も痣も傷も作って、消えて、作って…私は可哀想な子、なんて言葉に括られたくない。
素直じゃない子?…ううん。今が辛いだけの悲劇のヒロイン気取りーー。私はまだ家に帰りたくなかったため家に向かう足を止めて映画館への道へと行く。
どうせ家に帰っても重苦しいから映画でも見に行こうかな。
映画って言っても何見たらいいのかな…平日なのか、街には人が少なかった。やっと高校生らしいことやっとできたな…友達は居ないけどこうやって映画来るのちょっと憧れてたから嬉しいな…そう思いながら映画を適当に選ぶ私。ーー結局決まったのは「心臓に囚われた、私の心」という映画でこれは主人公が重い心臓病を患っていて彼氏と協力していく、という物語。これ予告編面白そうだったから気になってたんだよね
チャリン_今学割でやすくなってるから900円を入れる。
数時間後
やっぱりあの映画を見て正解だったと思う。まさか最後はあんな展開になるなんて…主人公は結局死んでしまって主人公の彼氏も後を追うという悲しい最後だったのだ。
私は途中から涙が止まらなくなったせいで皆から見られ恥ずかしい思いをしてしまったのだ。でも少し泣いたお陰で暗い気持ちはどこかへ飛んでいってしまった。映画観るだけでもこんなに変わるんだな、そう考えながら時計を見ると良い時間帯だったので帰ることに。遅くなったらまた痣が増えちゃう、
そう思い帰路へと着く
「た、だいま…」
シーン_
まだ誰も帰ってきてないみたいで家は私1人…
どこに行ったんだろ…。早く片付けないとまた暴力振るわれちゃう、あんなのはもうやだ、色々考えながら掃除していると
お母さん、カウル、が帰ってきた。
「あら、早かったわね」
「う、うん…」
「新しいモノ買ってきたぞ」
そうやって怯える私の目を真っ直ぐと見ながらカウルは私の服の所にナニカをつけた。__ 出会った時のカウルはとても優しくて、私に居場所を作ってくれたそんな優しい人だと思ってたのにカウルはこんなにもなってしまった…。『 私の居場所なんか存在しない 』と嫌というほど突きつけられる。窓も出口もない部屋に私だけがその部屋の中で泣いていて、苦しんで、辛くなって、バカみたい_
「もうやめて」
驚くほど冷たく低い声が出た。お母さんもカウルもそんな私の声に驚いている。
「なんだと?また振るわれたいのか」
違う_そうじゃない。分かってよ…
「ステラ。あなたに生きろなんて言ってない、死にたいなら死になさい、そして地獄に堕ちなさい。誰もあんたなんか必要としてないわ。」
お母さん…なんで、私をちゃんと愛して、嫌、嫌だ…そんなの
吐かないで_私はお母さんがスキ。だから何でも言う事を聞いてきた、そんなお母さんから汚い言葉を吐かれ私は深く絶望した。気がつくと私は家の外にいた。どうやって家を出たのかすら覚えていない。ただただお母さんから言われた汚い言葉を洗おうと私は身を投げた__
「こんな事になるくらいなら私は生まれて来なければ良かった」
身を投げる直前に出た私の弱い本音は誰にも届かず息となって
消えてしまった。誰か、こんな環境から抜け出させて。頭が割れるような痛みが走る。痛い、けどこれが私の未来。