私を拾ってくれますか?
太ももを思いっきり叩いて、割り切るために気合を入れた。
教室に着くと、奈垣くんが居た。今日は顔に汗もかいていなくて、制服も乱れていない。机に右肘をついてグラウンドで朝練をするサッカー部と野球部を見ている。
「おはよう。今日は朝練早く終わったんだね」
「おはよ。ううん、朝練ない」
「あ、なかったの?じゃあ早く来ただけ?」
「うん。昨日帰りに飯田見て。話しかけようと思ったんだけど、隣に居た男と物々しい雰囲気だったから、何かあったんかなって」
「物々しかった?ごめんね…」
揉めてはないけど、良い雰囲気ではなかったな。私も避けてたし、旭も怒ってたみたいな感じだったし。
「謝んなくて良いよ。俺は遠くから見てただけだし」
何があったか、言った方が良いのかな。でもどうなったって、奈垣くんには関係ないことだよね。聞いてほしくもあるけど、人の恋愛話にきっと興味ないだろうし。
私は教室の入り口で立ったまま、奈垣くんは机につく肘を右から左に変え、私を見たまま。
だめだ。このまま立っていたら、凹んでいると察してほしい、面倒くさい女になる。何事もないように、自分の席に座って私もグラウンドに視線を向ける。