私を拾ってくれますか?
「遊びに行くか!」
「…今から!?」
「バカ。放課後に決まってるだろ」
小さくなってしょげると、私の席に近づいて前の席の椅子を引いて横向きに座り、真剣な目で私を見る。
「あいつのこと、忘れたい?」
「…分かんない。でも、凹んだままは嫌だ」
「じゃあ、思いっきり体動かそう」
何かを思いついたように、ニンマリと笑っている。どこに遊びに連れて行ってくれるんだろう。無愛想だと思っていた奈垣くんが笑ったことに驚きながらも、何より放課後に旭と鉢合わせず済むことに、ほっとした。
瞼が閉じそうになる退屈な勉強に耐え、ようやく放課後を向かえる。今日も部活を休んだ奈垣くんと一緒に学校を出た。
「休んで大丈夫なの?」
「大会とかもないし、問題ないよ。他のやつもよく休むし」
どこに行くかも聞かされず、奈垣くんの後ろをただついていく。奈垣くんの足幅は大きいし速度も速いはずなのに、私が二歩歩いている間に奈垣くんは一歩で合わせてくれている。十分ほど歩けば、学校の最寄り駅が見えてくる。
ちょうど発車した電車が見えてきて、小さい頃に旭と駅の近くでよく遊んだことを思い出した。家は駅とは反対方向で、大冒険したい年頃だった私たち。そんな私を旭が駅まで、手を繋いで歩いて連れて行ってくれて、フェンス越しに電車を眺めた。お金を持っていなかったから乗れなかったけど、あの頃はそれだけで楽しかった。