私を拾ってくれますか?




_____




立ち尽くして、帰って行く奈垣くんをただ見つめ、姿が見えなくなった頃、我に帰って家に入ろうと体の向きを変えた。



すると、視界の左端に誰か居る気がして、チラッとそちらを向くと、旭が自分の家の前を彷徨いている。




「あっ、だからあんなこと…」



奈垣くんの行動に全く納得はしていないけど、理解はした。ウロウロしている旭をじっと見ていると、私の視線に気づいた旭がこちらを向いて、目が合った。


奈垣くんの行動から予想するに、一部始終を見られていたはず。旭はその場で足踏みをして、頭は左右に振っているだけ。すごく動揺しているのが分かる。動揺しているのは、旭だけじゃない。



この状況で話しかけられたくもなくて、その前に急ぎ足で自分の家に帰った。




次の日の朝、昨日の放課後のスパルタが原因の筋肉痛を嘆きながらいつも通り早めに家を出ると、旭が私の家のポストに寄りかかって立っていた。


昨日のキス未遂を見られていたことを思い出して、心の中はあたふた。表情はあくまで冷静だけど、何を言われるのか、学校までの道を旭と歩く恐怖が心に渦巻いた。



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