私を拾ってくれますか?




私は旭に守られたいわけじゃない。好きだからこそ対等な関係でいたいのに、旭とは思いが違ったみたい。


言い切ると旭は黙り込み、私と微妙な距離ができていた。何も言わずに下を向いたまま。一瞬の気の迷いなら、私は靡かない。学校へ行く道の方へきっちり前を向いて、足を進めた。


幼馴染の関係を崩したのは私、終わらせたのは旭。崩れたら修復はできても、元通りにはならない。私と旭は元通りにはならない。旭から離れて、1つ目の曲がり角を左に曲がったところで、ようやく息ができた。




「やめてよ…。もう苦しみたくない」




苦しいだけで何の糧にもならない。奈垣くんと放課後に走って汗をかいて、美味しいアイスを噛み締める方が、よっぽど充実した青春だ。



吐き捨てて曲がり角まで来た割に、旭がどうしているのか、後ろが気になって顔だけを出して様子を伺う。旭はまだあの場所に立っていて、左手で目元を押さえて首が垂れていた。


追いかけてこないんだ。別に追いかけてきてほしくないけど、旭の一瞬の気の迷いだと分かったから、それで良い。戻っても意味はないし、そのまま学校へ向かった。



家の前で話し合っていたら、いつもの登校時間になっていた。人も自転車も行き交い、賑やかすぎて何だか耳を塞ぎたくなる。これがいつもの光景だったのに、いつの間にか早い登校時間のほうが穏やかに過ごせるようになっていた。


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