私を拾ってくれますか?




「星、1つだけ言っとくけど。都合良い理由つけて逃げるのなしだよ」


「逃げる…。逃げはしないと思う」


「いや、分かんないよ。星は大事な場面で逃げようとする癖あるから」




頷いてはみたけど、紗奈の言う通り逃げてしまうかも。目の前にその状況が広がってないから、逃げないと言えるけど、実際は分からない。




「…頑張ります」




そんな会話を繰り広げた1週間後、早速逃げ出したくなる出来事があった。


奈垣くんに誘ってもらって、またジムに行った。流石に私の体力を考えたメニューにしてもらい、程よく疲れる筋トレを楽しんで、奈垣くんと過ごす時間も楽しかったのもあって、その日はよく眠った。


でもよく眠りすぎて、いつも起きる時間より30分寝坊してしまい、朝ごはんも軽く済ませて家を出ると、旭と居合わせる。





「寝坊?」


「あ、うん…」




思いの外、普通の幼馴染だった時みたいに話しかけられて、返事に戸惑った。突き放したのは私なのに、私だけが気まずくなっている。




「…寝癖ついてるし」


「え、どこ?」


「嘘ー」


「ねぇ、もう!」


「…それで良いよ。星はやっぱり笑ってる方が良い」




旭の前でちゃんと笑ったのは久しぶりで、自然体を忘れていた私を、冗談で引き戻してくれた。



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