私を拾ってくれますか?




「星、おはよ!」


「おはよう」


「…逃げたでしょ」




私が席に着くと、すぐに紗奈が教室に入ってきて、私の顔を見るなり逃げ癖を言い当ててきた。何も言わないでいつもと違う対応をされたら、どう接したら良いか分からなくなる。逃げたわけじゃない。




「逃げてない」


「話さなきゃ分かんないでしょ?自分の気持ちを伝えないと、向こうも言いようがないじゃん」


「…付き合ってないのに?」


「バカ。私くらい何でもかんでも喋るくらいじゃないと。頑張って話しかけてみなよ」




気持ちを話すのは、奈垣くんの方だよ。私は旭と話しただけ。そこから何も踏み込まれてないし、和解した。


奈垣くんの席の方を見ると、私に背を向けて窓の外を見ている。私と目を合わせないようにしているのか、見たことない貧乏ゆすりまでしている。あんな状態でまともに話せるのかな。



休憩時間を狙って話しかけようとしても、チャイムが鳴った途端に教室から居なくなるし、放課後はいつも部活に行くまでダラダラしているはずなのに、話しかけようと近づいたら、急に立ち上がってぶつかりそうになるし。




「うわっ」


「あ、悪い」


「ごめん。もう部活行くの?」


「うん。今日はスパーリングする日だから。何かあった?」


「…ううん。部活、頑張って」


「うっす」



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