私を拾ってくれますか?




ぶつかりそうになった時、驚いて後ずさって転けそうになる私の背中に片手を回してくれたから、ほんの少し期待した。避けられているのに、少し触れられただけで不覚にも胸が高鳴ってしまった自分がバカみたい。


嘘かも分からない奈垣くんの口実に乗っかって見送った私の後頭部を、一連を見ていた紗奈に叩かれてしまった。




「見送っちゃダメだよ。引き止めなきゃ」


「部活って言うから」


「それでも止めるんでしょ!今日の星、めっちゃ逃げるじゃん」




紗奈も今日は部活に行くというので、帰宅部の私は肩を落として下駄箱で靴を履き替える。




「おっ。帰るの?」




朝も聞いた声に顔を上げると、不思議と強張っていた体の力が抜けた。




「旭。旭も帰るの?」


「そうだよ。今日は部活休みだから」




〝一緒に帰る?〟と聞いておいて、すぐソワソワと周りを見渡す旭。




「今日は私1人だよ」


「そうなんだ。じゃあ大丈夫かな」




奈垣くんと旭が直接話したことはないと思うけど、奈垣くんに怯えている旭には、クスッと笑える。何も怯えることないのに。


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