私を拾ってくれますか?
俺が誰と話そうが、和倉には関係ない。そう言おうとしたのに、口元が固まり心臓が握りつぶされるように縮んだ。
俺のモヤモヤを飯田にも味わってほしいと思っていたのに、実際に味わせてしまったとなると、後悔ばかりが頭に浮かぶ。
「手紙持って、校舎を歩き回ってた」
「手紙?」
「奈垣くんに、今日渡すつもりだったんじゃない?」
「…まじで俺、何やってんだ」
幼馴染に振られた飯田を慰めてから、俺の前でよく笑ってくれるようになって、俺だけが飯田を知っていると調子に乗っていた。
俺の変な未遂行動も、拒否せずに受け入れてくれて、俺が怒ると謝ろうともしてくれていた。そんな飯田の健気な行動にも、俺は拒否して避けようとしていたんだ。
「もどかしい恋愛ドラマ見てるみたい。このまま何も進展なかったら、視聴者減っちゃう」
「飯田、どこ歩いてた?」
「今は、そっとしておいてあげてよ」
和倉のアドバイス通り、今は追いかけるのをやめた。それからすぐに飯田は教室に入ってきたけど、目は赤くて鼻を啜っている。俺と目が合うと、すぐに逸らして俺に話しかけることなく席に着いた。