私を拾ってくれますか?
立ち上がる前にもう一度項垂れておこうと、机に体を預けると、担任のような口ぶりが聞こえた。でも声は男の声じゃない。誰かが担任の真似でもしたのか。明日も同じことはやらない、もうそんな気力はない。
「…え!?」
「黒板の文字消しちゃうから、奈垣くんは日誌書いて」
俺の席の斜め前には飯田が腕を組んで立っていて、微笑んで日誌を指さした。俺が話しかける前に飯田は黒板消しに手をかけていて、とりあえず終わらせるために日誌に向かう。
でも書きながら飯田が気になって、すぐに日誌を放り出して黙々と黒板の文字を消す小さな背中を見つめる。
「和倉と帰ったんじゃなかったっけ」
「そうだよ。だけど、奈垣くんが日直だったから」
「…ちょっと意味が分かんないんだけど」
「だるいとか言って日直サボってるんだろうなって思ったから、手伝いに戻ってきたの!」
持っていた黒板消しを2つ持って俺の方に来ると、頭上でそれを叩いて、俺の髪の毛は真っ白。
「おい!汚いだろ!」