私を拾ってくれますか?



「いや、それは私が…」



奈垣くんに突っ込もうとすると、それを遮るように突然教室に甲高い声が響いた。



「爽太、忘れ物!」



奈垣くんを下の名前で呼び止めた女の子。つり上がった目をして、男の子と連むのが得意に見えるコミュニケーション能力が高そうな子。




「ああ、悪い」


「今日は、夕方部室来ないんでしょ?いつもみたいに置いてっちゃダメじゃん!」




奈垣くんも無愛想に見えて、案外こういう子と連むんだと思いかけて、部活の話が出たので、マネージャーだと分かった。部員を支えるにしては女の子らしい。奈垣くんが好きなのか。軽くそう思った。



二人の掛け合いを何気なく見ていると、マネージャーの女の子と目が合う。あ、やば。目が合っちゃった。と思ったけど、向こうから会釈をされて、一応笑顔で会釈を返した。


背筋がゾワっとする女の子。奈垣くんに向ける笑顔とは違う、何だか作られたような笑顔で、私に悪意を向けるようなそんな表情に思えた。




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