私を拾ってくれますか?
星、本音を漏らす。
「他のやつって、旭のことだよね」
「…飯田が笑ってるのは、俺も嬉しい。でもその相手、あいつじゃなくても良いよな?」
座っていた奈垣くんが立ち上がり、私に近づく。私が奈垣くんとマネージャーの距離感を見て感じた、胸の騒ぎ。奈垣くんは分かっていたんだ。
言葉にはしなかったけど、同じようにモヤモヤしていて、素っ気ない態度だったのはそれが原因だと気づいた。
「奈垣くんにとって、旭はライバルみたいなもの?」
「ライバルっていうか…、飯田を傷つけた最低なやつ。だからあいつが飯田と話してるのを見ると、拳を入れたくなる」
腕の筋肉をモリッと動かして拳を握る奈垣くんから、本気で旭を殴りそうな殺気を感じて、ボクシング部を崩壊させたくなくて、〝それだけはやめてね〟と焦って腕を掴んで止めた。
「そんなことはしないよ。飯田の大事なやつなんだろ?」
「大事…、というか。ただの幼馴染」
振られてからは、本当にただの幼馴染になった。隣を一緒に歩いても、何も思わない。説得力はないだろうけど。上手く伝えられなくて、掴んでいた腕を離しかけると、その手を奈垣くんに掴まれる。