私を拾ってくれますか?
「俺は嫌だった。飯田が俺以外のやつと、しかも振られた幼馴染と楽しそうに話してるの」
ほんの少しだけ力がこもると、寂しそうに力のない笑顔を私に向けた。
「格好悪いよな。ださくて」
笑っているけど、目は潤んで揺れている。そんな奈垣くんの姿に胸がグッと締め付けられた。
「ううん、私も一緒だから。マネージャーさんと話してる時の奈垣くんを見ると、距離近いなとか考えて自分の心が狭いのに気づいて嫌になるし、渡そうと思ってた手紙も渡せなかったの、ださいし」
「あ、手紙…」
まだポケットに入ったままだった手紙を出すと、くしゃくしゃに握りしめた跡がくっきり付いていて、文字も読めなかった。
「何て書いてくれてたの?」
「下駄箱で奈垣くんに会った日から避けられてたの、旭のことだって分かってはいたけど、怒ってる理由が分かんなくて。教えてほしいって書いたと思う」
「理由ね…。一択じゃない?」
「一択?何?」
まだ握りしめられたままの手は、もう感覚なんてない。何を言われるのか分からない緊張と、奈垣くんと話せた嬉しさから来る高揚。