私を拾ってくれますか?




「飯田だけは話してみたかった。和倉と話してる時の、心の底から楽しいんだろうなっていう笑顔と、幼馴染と登校してくる飯田の、お互いの気の置けない関係が伝わってくる朗らかな表情がさ。本当に幸せなんだろうなって分かるんだよ」


「私、そんな笑ってた?」


「ずっと笑ってるよ。話すようになってからも、飯田には笑顔でいてほしいなって思ってて。でも、俺だけにしか見せない顔もあってほしいなって思うし」




私が奈垣くんにしか見せない顔。そんなの、とっくに見せてる。嫉妬した顔も、キスされそうになって驚いた顔も。全部奈垣くんだけが見た、私の顔。





「ありがとう。嬉しい。私も…、奈垣くんのこと、好きだと思う」


「…思う?」


「だって。旭に振られたばっかで、励ましてくれた奈垣くんに好きって、もしかしたら好きじゃないのかもって」


「じゃあ、キスしてみる?ドキドキしたら、好きってことじゃん」




私にキスしようと、腰を屈めた奈垣くん。〝いらない!〟って慌てて肩を押して制止したけど、本当はしなくてもドキドキしてたから。





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