からかわないでよ、千景くん。
「…ありがとう」
千景くんと交換して、自然に同じ方へ歩く。
並んで歩くのは、久しぶりだった。
千景くんのことが好きって気づいてから、一緒にいるときの、うるさい心臓も。
なんだか、心地よく感じてきた。
(ドキドキしてるのに、落ち着くって…不思議)
でも——モヤモヤも、残ってる。
千景くんが、私だけを見てるわけじゃない。
そんな不安が、まだ胸の奥に沈んでる。
「あのさ、千景くん…」
「うん?」
チラッと隣を見ると、千景くんは前を真っすぐ見ていた。
その横顔がなんだか遠く感じて、胸が、ぎゅっとなる。
「この前、誰と保健室いたの?」
勇気を出して、聞いた。
ずっと、聞けなかったこと。
ずっと、気になっていたこと。