からかわないでよ、千景くん。
気づけば、残す競技はあと2つ。
借り物競争と、最後のリレー。
借り物競争は、絶対に千景くんを連れてくって決めてる。
何を引いても、どんなお題でも、千景くんしか考えてない。
「千景ー、俺の水筒とってー」
テントの後ろから、誰かの声が聞こえた。
その名前に、反射的に振り向く。
…いた。
千景くんが、いつの間にか戻ってきてる。
その姿を見た瞬間、胸がぎゅっとなった。
よかった…!
このまま借り物競争が始まってたら、ゴールできないまま終わってたかもしれない。
「借り物競争に出場予定の生徒は、入場門に集まってください」
アナウンスが流れた瞬間、勢いよく立ち上がる。
「なずな!頑張って!」
志緒ちゃんの声が背中を押してくれる。
その一言だけで、なんだか力が湧いてくる気がした。