からかわないでよ、千景くん。
「行ってきます」 志緒ちゃんにそう言って、私は入場門へ向かった。
並んで座ると、周りの子たちの声が耳に入ってくる。
「“好きな人”とか入ってたらどうする?」
「えー、恥ずかしい〜!」
そのお題、ぜひ私にくださいっ!
心の中で、思わず手を挙げたくなる。
さっきまでのモヤモヤが、まるで嘘みたい。
千景くんの“がんばってね”の一言で、私の中の何かがパチンと弾けた。
今の私は、無敵状態だよっ。
たとえ、千景くんに好きな人がいたとしても。
たとえ、その人が私じゃなかったとしても。
私は、私に嘘をつかない。
この気持ちを、大切にするって決めたんだ。
だって、こんなに誰かを想う気持ち、簡単に手放したくないから。