からかわないでよ、千景くん。
「3レーン月城さん、こちらへどうぞ」
名前を呼ばれて、私はそろりと立ち上がる。
うう…。注目されるの、やっぱり苦手。
みんなの視線が、じわじわ刺さってくる気がする。
「なずなー!!頑張れー!!」
志緒ちゃんのメガホンが、空気を突き抜けて届いた。
その声に、ちょっとだけ背筋が伸びる。
集中、集中…! 私のゴールは、千景くんと手を繋ぐこと。順位なんて関係ない。
パンッ! 大きな音が鳴って、一斉にスタート。
…って、忘れてた。 勢いだけはあるけど、私、運動できないんだった。
紙にたどり着くまでに、すでに4人が走り抜けてる。
でもいいの。1位じゃなくていい。
私の目標は、千景くんとゴールすることだから…!
だから、お願い志緒ちゃん。
「おそーい!」なんて、メガホンで叫ばないでっ!