からかわないでよ、千景くん。
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放課後。先生に呼び出されて、職員室へ向かった。
朝提出したプリントに不備があったらしくて、ちょっとだけ注意される。
「ふぅ…」
気まずさを引きずりながら、教室に戻る。
扉を開けると、そこには千景くん。
机に伏せて、すやすやと寝ていた。
まだ残ってたんだ。
ここにいるの、珍しい。いつもは、あの場所にいるのに。
静かな教室。
夕方の光が、千景くんの髪に差し込んで…まるで絵みたいだった。
寝顔…かわいい。
その言葉が、自然と心に浮かぶ。
気づけば、無意識に手が伸びていた。
そっと、髪を撫でる。
その瞬間——
ガシッ。
腕を捕まれた。
「寝込み襲おうとしてる?」
千景くんの声。低くて、でもどこか楽しそうで。
「なっ…ちがっ…」
慌てて言い返すけど、言葉がうまく出ない。
「じゃあ、この手、なに?」
掴まれた右手が、じんわり熱い。
「ね、寝顔が可愛かったから…」
小さく答えると、千景くんがふっと笑った。
その笑顔が、また私の心をかき乱す。