からかわないでよ、千景くん。



「口、開けて」



突然の言葉に、頭がついていかない。
でも、千景くんの目が真剣で、逆らえなくて。

言われたとおりに、そっと口を開ける。



「いい子。そのまま、口開けてて」



その瞬間、唇が重なった。
今までのキスとは、まるで違う。



「んっ…、んぅっ……」



甘くて、深くて、息ができないくらい。
体の力が抜けて、膝から崩れ落ちそうになる。



「…はぁっ…はぁっ…」



息を整えることもできなくて、ただ震える。
そんな私を、千景くんがしっかり支えてくれた。



「ちょっと意地悪しすぎたね」



千景くんはしゃがみながら、そっと私の頭を肩に預ける。
そのまま、抱きかかえられる形になって――

心臓の音が、千景くんに聞こえちゃいそうで、恥ずかしい。

でも、今はもう、逃げられない。
千景くんの腕の中が、あまりにも安心で、あたたかくて。


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