からかわないでよ、千景くん。



平静を装って、わざとらしく声をかけた。



「なーに?」



月城さんは、少し戸惑いながら俺の足元を指さす。



「あの…消しゴム、落としちゃって」


「あぁ、気付かなくてごめんね」



――気付いてたけど。


消しゴムを拾って、渡そうとした。

けど、手が止まる。

気づけば、消しゴムをギュッと握りしめていた。


あー。やばい。
こんなこと、絶対に引かれるってわかってるのに。

でも、言いたくて、仕方なかった。



「月城さんって、なんか……噛みつきたくなる顔してるね」


「……え?」


「噛みつきたい、ね」



その首も、頬も、腕も。
白い肌に、俺の存在を刻みたくなる。


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