からかわないでよ、千景くん。
千景くんは、いつだってかっこいい。
顔も綺麗で、立ってるだけで絵になる。それはもう、ずっと前から知ってたこと。
でも——今日は、なんだか違う。昨日よりも、もっとかっこよく見える。
…なんでだろう。
下駄箱の前で、眠そうにあくびをしてる千景くん。
その仕草すら、愛おしくて。あくびしてるだけなのに、かわいいって思っちゃうなんて、私…。
「なずな?靴替えないの?」
千景くんの声に、ハッとする。
「…わ、忘れてたっ」
慌てて靴を脱ぎかけた瞬間、隣でクスクスって笑う声。
「忘れてたって…」
その笑顔が、またズルいくらいにかっこよくて。でも、ちょっとだけ子どもみたいで、かわいくて。
ああもう、どうしてそんなに完璧なの。
私の好きな人。 そして——千景くんも、私のこと…好きなんだよね。
そう思った瞬間、胸がドクンって跳ねた。顔が、熱い。耳まで赤くなってる気がする。
やばい。
朝からこんなにドキドキしてたら、授業なんて集中できるわけないじゃん…。