からかわないでよ、千景くん。



そしたらね—— 百発百中、目が合うの。
授業中も、休み時間も。私が見てると、千景くんもこっちを見てる。

目が合うたび、慌てて逸らしてしまうけど、心の中では嬉しくてたまらなかった。

だって—— 千景くんも、私を見ていてくれたってことでしょ?
その視線が、私だけに向けられてるって思うだけで、胸がぎゅっとなって息が詰まりそうになる。

千景くんが、私の名前を呼ぶ声。私を見る視線。

それら全部が、熱を持ってる気がする。
優しい目なのに、まるで「好き」って言われてるみたいで。見つめられるだけで、顔がじんわり熱くなる。

…恥ずかしい。でも、嬉しい。

千景くんは、意外にも——いや、もう確信レベルで、私のことしか見てなくて。
そのことに気づいた瞬間、胸がぎゅっとなった。
考えるだけで、どうにかなりそう。



「結局、千景がなずなをいじめるのは、好きだからなんだよね」



志緒ちゃんの言葉に、私は首をかしげる。



「そうなのかな?」


「私も分からなくはないけど、やりすぎよね。あの、クソガキ」


「クソガキって…志緒ちゃん」



急に口が悪い。でも、志緒ちゃんのツッコミはいつも的確で、ちょっと笑える。


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