からかわないでよ、千景くん。
「ち、千景くんは…なんで意地悪してくるの?」
ずっと聞けなかったこと。
でも、今日の放課後、2人きりの教室で、勇気を出して口にした。
千景くんは、少しだけ目を細めて、私を見つめる。
「好きだから。なずなのことめちゃくちゃにしたいって言わなかった?俺で苦しんでるなずながみたい」
…え。
何それ。 変すぎる。
「…へっ、変!」
思わず言葉が漏れる。でも、千景くんは笑ってる。
「はは。そうだろうね」
その笑い方が、またズルいくらいにかっこよくて。
意地悪なのに、優しくて。私の心を、ぐちゃぐちゃにしてくる。
好きだから、意地悪するなんて—— おかしい。ほんとに、おかしい。
それなのに。
それなのに、嬉しいって思っちゃう私は、もっとおかしい。
千景くんの言葉に、胸がぎゅっとなる。
苦しいのに、甘い。痛いのに、幸せ。
……でも、もう戻れない。 私は、千景くんにめちゃくちゃにされてもいいって思ってる。