からかわないでよ、千景くん。



あ、まずい。
これは…完全に千景くんのペース。

逃げようと思ったときには、もう遅かった。
千景くんの手が伸びてきて、また鼻をつままれて——そのまま、キス。



「…んっ…んー…!!」



え、ちょっと…! 鼻つままれてるから、息ができないっ…。

苦しくて、涙目になりながら、思わず口を開けると——

その隙を見逃さない千景くんが、さらに深く割り込んでくる。



「…ふっ…、…やっ、ぁ…」



まって…!


心臓が暴れてる。頭が真っ白。

このままじゃ、ほんとに——



「ちか…くっ…やめっ…!」



必死に逃げようとするけど、千景くんの手が私の頭をそっと押さえて、動けない。

でも、その手は乱暴じゃなくて。
優しくて、でも強くて。私のことを、離したくないって言ってるみたいで。


苦しいのに、嬉しい。


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