からかわないでよ、千景くん。
顔が熱い。
恥ずかしくて、目を合わせられない。
千景くんは、大きなため息をついた。
「…なんなの、それ。ずるい」
「えっ?」
お、おかしかったかな…?
不安になって顔を上げると、千景くんはまたため息をついて、じっと私を見てくる。
「…意地悪なずな」
「へへっ」
笑ってしまった。
だって、いつも意地悪してくるのは千景くんなのに。今日は、私がちょっとだけ仕返し。
でもそれは—— 千景くんが、私のことを好きだからなんでしょ?
ちょっとだけ、千景くんの気持ちが分かった気がする。
好きだから、意地悪したくなる。
好きだから、困らせたくなる。
好きだから、触れたくなる。
ドキドキ、ドキドキ。
心臓はずっと鳴りっぱなし。
すき。
千景くん。