からかわないでよ、千景くん。
そのまま、部屋のベッドに乱暴に投げられる。
「…っ」
「ね、なずな。俺怒ってるよ」
ギシッとベッドの軋む音。
制服のシャツの袖を捲りながら、放りなげられた私の上にまたがる千景くん。
「ち、千景くん…」
私を見下ろしながら、ネクタイを緩める千景くんの仕草に、心臓が暴れている。
—— 息が詰まりそう。
「今のなずなには、優しくするのが正解だと思うんだけど、」
その言葉に、胸がぎゅっとなる。
赤いリボンを乱暴にとって、私のシャツの2番目のボタンをプチッと器用に片手で開ける。
「ま、まって…!」
思わず声が漏れる。
1個、2個、3個。 ボタンが外されていくたびに、胸の奥がざわつく。
中に着ていたキャミソールが見えて、カアッと顔が赤くなる。
視線をどこに向ければいいのか分からない。
千景くんの顔も、手の動きも、全部が近すぎて。でも、怖くはない。不思議と、安心してる自分がいる。
「…なずな、顔真っ赤」
千景くんが、少しだけ笑う。