からかわないでよ、千景くん。
「み、見ないで…」
両手で顔を隠すと、千景くんの片手で簡単に両手首をつかまれ、私の頭の上に固定される。
「や、だっ…この格好っ…」
鋭い目つきに、肩が震える。
いつもの優しい千景くんじゃない。
でも—— その倍、心臓がドキドキしてる。
あ、私…もしかして…。
カッと顔が赤くなって、思わず顔を逸らす。
「なずな、分かる?こうされると、抵抗できないでしょ」
ツーっと、顎から真っすぐキャミソールにあたるまで千景くんの指先がなぞる。
「…んっ…」
いや、なのに。
恥ずかしい…のに。
「怖い?このまま襲うこともできるよ」
千景くんの怒ってる顔。
普段は柔らかくて、優しくて、どこか包み込むような雰囲気なのに—— 時折見せる、嫉妬で狂ったようなその表情に、胸がざわつく。
目が合った瞬間、息が止まる。鋭い目つき。眉間に寄った皺。
言葉よりも、視線がすべてを語ってる。
「なずな、俺…怒ってるよ」
低くて、でも震えるような声。その声に、肩がピクリと震える。
でも—— 怖いだけじゃない。
その倍、心臓がドキドキしてる。