からかわないでよ、千景くん。
私だけだよね、寂しいの。そうだよねっ。
むっとしていると—— 千景くんに、クスクス笑われた。
「離れても、俺のこと考えてくれる?」
「うぐっ…」
反則。
どこにいても、 何してても—— 千景くんの方を見ちゃうんだから。
最近は、志緒ちゃんにまで言われる。
「千景みたいになってきたね」
それくらい、 千景くんのことを目で追ってる。
だって、好きなんだもん。しょうがない。
千景くんのこと、考えない日なんてないよ。
くじを引くと—— 私は、真ん中の後ろの方。
千景くんは、窓側の前の方。
「うっ…ほんとに離れたっ…」
「はは」
千景くんは、笑ってるけどね。
千景くんの隣って、私にとっては特別だったんだよ。
朝、何気なく交わす「おはよう」も。
授業中、こっそり目が合う瞬間も。
机をくっつけて話す時間も。
全部、全部—— 私にとっては、宝物だった。