からかわないでよ、千景くん。



私が隣じゃなくても—— 全く? 寂しそうじゃないし?

はあ、ともう一度ため息。



「辛気臭いな~、そんなに俺の隣嫌なの?」



笹村くんが、 おどけたように言ってくる。



「千景くんの隣がよかったの…」



千景くんの後ろ姿を見ながら、 小声で答える。

すると、笹村くんは——「わ、素直」って、また笑ってる。



*

*

*



昼休み。お弁当を食べ終わってから、準備室へ。

千景くん、いるかな。いてくれるといいな。

そっと扉をあけると—— ソファに寝転がってスマホを触ってる千景くん。



「——あ、なずなだ」



…えぇ。 私が来ただけで、そんなに嬉しそうな顔するの?

千景くんはスマホを置いて、 ソファに座り直す。
その顔が、 ほんとに嬉しそうで——
胸が、キュっとなる。


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